横山秀夫「クライマーズ・ハイ」感想 まさに「著者渾身」の傑作

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)


http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/65/90/9784167659035.shtml:TITLEより

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは──。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。 解説・後藤正治

 土曜の夜に一気読みしてしまいました。凄まじい面白さでした。


 主人公悠木は,あくまで普通の記者です。その悠木が,未曾有の航空機事故を前に,記者としての正義,会社組織での立場との間で,揺れ動き,悩み,ギリギリのところで決断していく。その苦しみが,読んでいて痛いほど伝わってきましたよ。本から受ける迫力が並じゃなかったです。まさに「著者渾身」といえる小説でした。


 全部読んでみて,悠木の選択は全て正しかったかのか,それはわかりません。でも,悠木が,命がけで苦しみ悩みながら,この事件に向かい合ったことだけは確かなのではないかなと思ったり。(→厳密にはネタばれではないですが,新鮮な気持ちで読みたい方は次の文を飛ばしてください)
だからこそ、ラスト,悠木と同じく命がけで事件に臨んだあの記者から,ああいった言葉がかけられたのではないでしょうか。