jurisan@hatena

漫画の感想や日々のことなど

チルドレン刑法

刑法判例ゼミ連動連載「チルドレン刑法」詐欺罪2

 
 先に処分行為やってしまいます。これも詐欺行為要件のなかでじぶんは検討します。

 と・・・。この説明のしかたはちょっと間違い?かもと思いました。
 

 より正確には・・・。詐欺行為は実行行為なので、詐欺罪の保護法益の侵害の具体的危険ある行為。さらに詐欺罪は詐欺→錯誤→処分→移転という因果を予定。
だから、詐欺罪の実行行為である詐欺行為は錯誤処分行為に基づく移転という因果によって
保護法益が侵害される具体的危険ある行為でなくてはならない・・・。


 処分行為。
窃盗利益窃盗との区別。どちらも終局的な財物財産上の利益移転。
それが被詐欺者の意思にもとづくかいなかで区別されている。


 んで。

 
 処分行為とは?
「被詐欺者の瑕疵ある意思に基づく直接かつ終局的な財物・利益の移転」by西田

 分解。

 ○処分行為の要件。
(鄯)財物の占有財産上の利益の移転が詐欺行為者に終局的に移転したこと
(鄱)財産利益移転の直接性。つまり、(鄯)の利益移転により被害者の利益が喪失したという  反射的関係にあると評価できること。
(鄴)(鄯)で確定した利益移転時期まで被詐欺者の意思が及んでいること

 思考手順は(鄯)→(鄱)鄴

 以下食った後犯意生じた食い逃げ事例。*1


(鄯)
 時系列を想起。店内〜店中出口付近・軒先〜店外出口付近〜店外〜さらにもっと遠く。飲食代金の終局的移転。つまり事実上債務の支払を免れた(債権の準占有が移った)時期は・・・・?通常は店員の追跡が不可能になった場合*2。そう考えると、その店の構造、位置、周囲の状況にもよるが、早くて店外出口。〜遅くて店外から相当はなれたところ。ここでは「店外」としておく*3
(鄱)行為者が利益を得ると反射的に店が利益を失う。
(鄴)
 詐欺行為(「ちょっと〜にいくよ」とか)により誘発されるであろう被詐欺者の意思が(鄯)で確定した利益移転時期まで及んでいるか検討する。P1「トイレにいく」「ちょっと軒先にでるよ」→「いいですよ」。被詐欺者は(鄯)「店外(軒先から離れた時点)」にいくことは認識しておらず、「店外」という利益移転時期まで意思が及んでいない。(鄱)⊂ミ⊃^ω^ )⊃ アウアウ!!意思にもとづく利益移転とはいえない。P2「うちまで財布とってくる」→「いいですよ」(こんな店はないと思うが)。店外という利益移転時期にまで及んでいる。⊂(^ω^)⊃ セフセフ!!*4

 

*1:実際はより細かく評価いれていきたいです

*2:店側が詐欺者の住所氏名を完全把握していて、あとで請求できる特殊事例は除く

*3:ここの検討では「トイレに行く」「携帯電話するからちょっと軒先にでる」といった詐欺者の発言、対する被詐欺者の承諾は考慮しない(してはいけない)。あくまで純客観的に利益移転時期を確定する。詐欺者の発言等は(鄱)の考慮要素となる。処分行為がややこしいのはここらへんを混同して検討してしまうせいではないか(自分の経験)

*4:追跡されて、おいすがる店員をぼこぼこにした場合は・・・。事後強盗は窃盗じゃないから駄目だけど。飲食代金債務を免れるためとして2項強盗の検討が必要になる(Pならおそらくそういう)。あとは包括一罪を検討